かなさんの仲間通信~地産地消の輪
第32回 アマンダリーナ 代表 奥井 奈都美さん
ラテンの世界から横浜野菜。そして横浜の青みかんへ。
食の世界で仕事を始めたのは2年半前。子育てをしながら、好きな料理を仕事にしたいと思い、思い切って転身しました。初めは場所を借りてワンデーカフェを、その後料理教室を開催するようになりました。私の得意分野はちょっと変わっていて、ラテン料理です。最初の出会いはかれこれ17年前。独身時代には約1年かけて中南米をバックパッカー旅行しました。元来食いしん坊な私は、現地のものを食べ歩きました。庶民の行くレストランやメルカードの食堂で食べたり、また一般家庭に住み込んで家庭料理を習いもしましたが、その経験が今に生きています。
食の仕事を始めて間もない頃、野菜ソムリエの式典で会った先輩が偶然にも横浜の農家さんで、その方からある民間企業が主催する食と農に関する講座の話を聞き、私も受けてみました。8回の講座は毎回本当におもしろく、それまで知らなかった神奈川の地産地消の話や、それらを活かして地域に活力を与え活躍している方達の話は、目から鱗でした。講師の方々や同期の受講生との繋がりが生まれ、そこから私の世界は一気に広がりました。
その後の活動では、農家さんの畑に行き、生産者から直接聞く機会が増えました。彼らの野菜作りに対するこだわりや思いを聞くと、私もその野菜が愛おしく感じます。採れたての野菜の美味しさを知り、できるだけ直売の野菜を買うようになりました。子供も美味しいものはわかるんですね。5歳の娘も、直売所で買ってきた胡瓜を食卓に出すと、もう伸ばす手が止まりません。私はこれを自分の料理教室でも実践していて、毎回、地元の農家さんから直接仕入れた野菜を紹介しています。生徒さんから”野菜の味が濃い!”と驚く声を聞くと、心の中で思わずバンザイをします。地元で採れた新鮮な野菜の味を伝え広めていくこと、それが私のミッションだと思っています。
そんな私に、ある転機が訪れました。昨年度の横浜地産地消ビジネス創出支援事業です。この取り組みを知った時、私は以前から頭の中にあった一つの思いを形にしてみようと思いました。 それが青みかんのドレッシングの商品化です。きっかけは、昨年夏に湘南みかんの摘果に参加したことでした。青みかんとは温州みかんの若い果実のことで、真夏に、かぼすくらいの大きさになったところを摘み取ります。ちゃんと間引くことで枝葉と果実のバランスが取れ、秋に大きくて甘いみかんになるのです。青みかんは、レモンのように酸っぱくて、爽やかな香りです。私はこの果汁を使ったドレッシングやカクテルを料理教室やカフェで出しましたが、とても好評でした。こんなに美味しい青みかんが捨てられてしまうなんてもったいない!そんな思いから、青みかんを活用した加工品の開発を考えました。原料となる青みかんは、横浜市金沢区柴シーサイドファームの小山さんのみかんです。早速コンタクトを取ったところ、小山さんは快く賛同してくださいました。
4回の講座と最終審査を経て、この事業計画は、市の地産地消ビジネスとして採用をいただきました。これからが、“ものづくり”という全く新しい分野での挑戦です。最初は何から始めていいのか検討もつかなかったのですが、市の担当員、県や民間の専門家、友人など多くの方々の協力と応援を得て、一歩ずつ準備を進めてきました。
そして今年の夏の青みかんの季節がやってきて、いよいよ、本格始動!8月の初めに小山さんの畑の青みかんを摘果しました。小山さんもご家族総出で手伝ってくださり、約200kgの青みかんを収穫しました。今は、この秋の商品化に向けて、大事に保管されています。
今年の収穫量から作れるドレッシングの数は、実際にはそれほど多くありません。私はそれを来年に繋げようと思います。小山さんがこの事業に前向きに協力してくださっていることはとてもありがたく、その関係を来年はさらに広げて、柴シーサイドファームの皆さんと共にやっていきたいと考えています。
私はこのプロジェクトに、「アマンダリーナ」という名前をつけました。横浜のみかんで“ハマのマンダリーナ”。スペイン語読みしてアマンダリーナです。この言葉に込められた様々な思いを、ひとつずつ、実現していきたいです。“Una vida feliz con Hamandarina verde”
執筆者プロフィール
奥井 奈都美(おくい なつみ)
ラテン料理研究家 野菜ソムリエ
フードコーディネーター
横浜市認定 はまふぅどコンシェルジュ
日本野菜ソムリエ協会認定認定料理教室主催
中南米各国を旅行し、ラテンの食文化をカラダで学んだ経験を活かし、横浜市内でラテン料理教室を開催。
新事業、横浜青みかん商品化プロジェクト「アマンダリーナ」を現在準備中。